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リンゴ病はパルボウイルスB19の感染で起こる感染症です。
パルボウイルスB19の感染経路は、飛沫・接触感染が主な感染経路です。
パルボウイルスB19の感染力はインフルエンザウイルスよりも高いことが考えられますので、家庭内にリンゴ病の方がいる場合には注意をする必要があります。
一般的には4~5年ごとに流行があり、春~夏にかけての感染が多いと言われてきましたが、2024年秋以降はずっと流行が続いている状態となっています。
パルボウイルスB19は1回感染すれば終生免疫を得ることができますので、リンゴ病(流行性紅斑)にかかったことがある場合には妊娠中に感染する可能性は低いです。
日本の統計では約50%の妊婦さんがパルボウイルスB19感染の既往があるようです。
統計学的には、パルボウイルスB19流行期にはパルボウイルスB19未感染妊婦の約10%がパルボウイルスB19に感染すると報告されています。
家庭内にパルボウイルスB19感染者がいる場合には、感染するリスクは約50%まで跳ね上がります。
医療従事者や保健事業従事者、学校および保育所勤務者は感染のリスクが高いことが報告されています。
上記の職種のパルボウイルスB19未感染妊婦は約20~50%が感染すると報告されていますので、より注意が必要と考えられます。

(株)マルホのホームページより引用
”リンゴ病”といわれているように、小児がパルボウイルスB19に感染すると、上の写真のような特徴的な紅斑が生じることが多いです。
パルボウイルスB19に感染した場合には、約10日前後の潜伏期間期間の後に発疹が出現します。
多くの場合、頬に発疹が出現する7~10日くらい前に、微熱やかぜのような症状がみられ、この時期にウイルスの排出が最も多くなります。
発疹が現れたときにはウイルスの排出はほとんどなく、感染力もほぼ消失しています。
そのため、お子さんに発疹が出現して伝染性紅斑を診断された時には、すでに家庭内での感染のリスクは発生していますので、家庭内での感染対策が困難な感染症です。
成人の場合にはパルボウイルスB19に感染しても特徴的な紅斑は生じず、のどの痛みや筋肉痛・関節痛にとどまることが少なくありません。
そのため、妊婦さん本人や夫がパルボウイルスB19に感染しても診断に至らないケースが多いようです。
したがって、知らないうちに家庭内にパルボウイルスB19が持ち込まれていることも考えられ、妊婦さん自身や夫が子供と接する機会が多い職種の場合には、お子さんがいない家庭でも油断はできないと思われます。

妊婦さんがパルボウイルスB19に感染した場合には、胎盤を介して胎児にもパルボウイルスB19が感染してしまいます。
ウイルス感染に伴って奇形を起こすことはありませんが、一部の胎児では胎児貧血とそれに伴う心不全を起こしてしまい、胎児水腫・胎児死亡の原因となります。
パルボウイルスB19感染妊婦のうち、一般的に胎児感染をきたすのは約20%程度といわれています。
胎児水腫までいたるものは約11%程度と報告されており、パルボウイルスB19に感染したからといって必ず胎児水腫に至るわけではありません。
胎児水腫に至る期間は、パルボウイルスB19の感染から8週間以内であることが多く、8週間以降は胎児水腫に至る可能性は低くなります。
胎児感染をしてしまった場合には妊娠週数によって胎児への影響が変わります。
母体の感染時期が妊娠14週未満であった場合には、約14%が自然流産や胎児死亡となってしまいます。
しかし、それ以降であれば、自然流産や胎児死亡の可能性は5.6%まで低下します。
したがって、妊娠14週未満の妊婦さんは、パルボウイルスB19への感染対策にはより注意が必要です。

まずは、パルボウイルスB19感染者に接触しないことが必要ではあるが、発疹出現時には周囲への感染期間は終了しており、発症者との隔離は意味がありません。
保育所や幼稚園、職場での集団感染がおこっている場合には、ウイルス感染者との接触を念頭においた感染対策が必要です。
パルボウイルスB19の感染経路は飛沫感染と接触感染であり、マスク着用と手洗いが重要です。
コロナウイルス感染症は落ち着いたとはいえ、妊婦さんが外に出る際にはマスク着用とこまめな手洗いが重要と考えれます。
北くまもと井上産婦人科医院
院長 井上 茂

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