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8回目の妊婦健診は妊娠30週~31週で行われます。
8回目の妊婦健診では、前置胎盤や低置胎盤がないかどうかを診察するために経腟超音波検査を行います。
妊娠週数が早い時期では、子宮自体がまだ小さく評価が困難です。
一般的には妊娠20週前での前置胎盤の診断は困難と言われています。
妊娠20週以降でも、子宮が子宮体部側に伸展していくことで、胎盤が子宮底部に移動していくように見えることがありますので、当院では妊娠30週前後での評価を行っております。
では、前置胎盤や低置胎盤について解説していきたいと思います。
まずは、正常な胎盤位置について解説していきます。
通常の胎盤は 、上の絵のように子宮口から離れた子宮体部と呼ばれる子宮の上のほうに付着しています。
前置胎盤や低置胎盤は、上の絵のように子宮の下の方に胎盤が付着しています。
胎盤の一部が子宮口(子宮の出口)を覆っているものを前置胎盤と呼びます。
また、胎盤が子宮口を覆ってはいないものの、子宮口に近い部分に胎盤の端があるもの(一般的には、内子宮口から2cm以内に胎盤の端を認めるもの)を低置胎盤と呼びます。
前置胎盤や低置胎盤は、子宮の下の方に胎盤が付着しています。
子宮の下の方は、分娩後に子宮の収縮が悪いため、分娩後に出血が多くなり産後の大量出血の原因となります。
さらに、前置胎盤は子宮口を胎盤が覆っているため経腟分娩をすることは困難であり、帝王切開分娩が必要となります。
帝王切開術を行った場合でも、子宮の収縮が悪く大量出血を起こすことがあるため、手術の際の大量出血に備えて自己血貯血や輸血の準備が必要となります。
低置胎盤は胎盤自体は子宮口を覆ってはいませんが、子宮口の近くに胎盤があることで分娩中から大量出血を起こすことがあるため、帝王切開分娩となります。
前置胎盤も低置胎盤も、胎盤が子宮の前の壁に付着している場合には、帝王切開術の際に胎盤を切開して赤ちゃんを娩出するため、より注意が必要となります。
今回は前置胎盤・低置胎盤について解説しました。
前置胎盤・低置胎盤はしっかり診断して準備をすることで的確な対応が可能となりますので、当院では経腟超音波検査でしっかり診断するようにしております。
また、前置胎盤の場合は自己血貯血などの特別な管理が必要となりますので、適切なタイミングでの周産期センターへの紹介を行っております。