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初回の妊婦健診では、妊娠のリスクを評価するために問診にて妊娠管理に必要なさまざまな情報を得る必要があります。
妊娠に影響するような合併症や前回の妊娠経過について問診をすることで、今回の妊娠管理での注意事項をピックアップします。
妊娠前の身長と体重によりBMIを算定し、妊娠中の目標体重を設定します。
妊娠中の体重増加については妊娠前のBMIにより異なるため、BMIを算定することにより、目標体重を設定します。
母体の体重増加は赤ちゃんの発育にも重要な要素ですが、体重増加量が多すぎると赤ちゃんが大きくなりすぎて難産などの原因になります。
しかし、体重増加量が少なすぎると赤ちゃんが大きくならない原因となります。
適切な範囲内の体重増加が、赤ちゃんにとってもお母さんにとっても最も好ましいです。
血圧や尿検査を行い、妊娠初期から血圧上昇や尿蛋白、尿糖が出ていないことを確認します。
もし、初回の妊婦健診のときから血圧が高かった場合には、妊娠前から高血圧症があることを考えます。
また、初回の妊婦健診のときから尿蛋白や尿糖があって、その後の複数回の妊婦健診でも尿蛋白や尿糖が続く場合には、腎炎や糖尿病の存在を疑います。
場合によっては精密検査が必要となります。
内診(クラミジア検査、超音波検査、膣培養検査(BVスコア))
妊娠初期検査にはクラミジア検査(熊本県の場合)と子宮頸がん検診が含まれるため、内診を行います。
また、熊本県内の無料券には、膣内の細菌バランスを評価する膣培養検査(BVスコア)が無料券に含まれているので、その検査も行います。
膣培養検査(BVスコア)は切迫流産や切迫早産の原因となる細菌性膣症がないかどうかを評価することができます。
もし細菌性膣症がある場合には早期に治療することで切迫流産や切迫早産の予防が期待されます。
また、初回の妊婦健診で初診された場合には、子宮筋腫や卵巣腫瘍などの婦人科疾患がないかについても経腟超音波検査で評価します。
妊娠10週を超えていれば経腹超音波で赤ちゃんの状態を診ることができますので、経腹超音波検査で赤ちゃんの状態を確認します。
条件が良ければ4Dエコーで赤ちゃんが動いている様子も見ることができます。
初回の妊婦健診では測定項目が多いため、結構な量の採血を行います。
初回の妊婦健診に含まれている採血項目は以下のような項目になります。
・血液型:ABO式血液型、Rh式血液型
・不規則抗体スクリーニング:ABO型やRh型以外の稀な血液型がないかどうかの検査
・血算:いわゆる貧血の検査
・血糖値:糖尿病のスクリーニング
・感染症の検査
HBs抗原検査(B型肝炎のスクリーニング)
B型肝炎の妊娠への影響については、母子感染と予防 | B型肝炎とは を見てみてください。
HCV抗体(C型肝炎のスクリーニング)
C型肝炎の妊娠への影響については、C型肝炎検査について【妊娠中の検査シリーズ】 を見てみてください。
風疹抗体(HI法)(風疹抗体を持っているかどうかのスクリーニング)
風疹の妊娠への影響については、気になる熊本の風疹の話 | 北熊本井上産婦人科医院ブログ を見てみてください。
TP抗体(梅毒のスクリーニング)
梅毒の妊娠への影響については、梅毒検査について【妊娠中の検査シリーズ】 を見てみてください。
HTLV-1抗体(母乳を介して感染するウイルス)
HTLV-1の詳しくについては、 妊婦健診 – HTLV-1情報サービスを見てみてください。
HIV抗体(いわゆるAIDSウイルスのスクリーニング)
HIVの詳しついては、妊婦 HIV検査(一次検査)陽性に関する Q&A を見てみてください。
トキソプラズマ検査
トキソプラズマは家畜の肉や感染したばかりのネコの糞や土の中などにいる、ごくありきたりの原虫です。原虫と言っても、とても小さな単細胞動物なので目には見えません。
日本では大人になってから感染率が高くなる傾向にあります。 感染しても健康な人には全く問題ないのですが、妊婦が初めて感染した場合は、その胎児にも感染が及ぶことがあるので注意が必要です。
感染した胎児には、流産・死産、脳や眼の障害などが生じることがありますが、症状も障がいの重さも様々です。
詳しい資料を2回目の妊婦健診の際にお渡ししています。
トーチの会の記事より引用
当院でサイトメガロウイルス検査についてはルーチンでは行っていませんが、ご希望の場合には自費負担で検査することもできます。
検査をご希望の場合にはお声掛けください。
北くまもと井上産婦人科医院
院長 井上 茂
資格