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6回目の妊婦健診は妊娠26週~27週で行われます。
6回目の妊婦健診では特殊な検査もないため、妊婦さんの貧血について解説していきます。
妊娠中には母体の血液量が増加します。
さらに、赤ちゃんやその付属物(胎盤など)への鉄供給が必要になることも相まって、妊娠性貧血を来たします。
妊娠性貧血は慢性的に進行するので、ある程度貧血があっても体が慣れてしまっているので日常生活に支障をきたすことは少ないと思われます。
妊婦さんの症状として良くみられる、”ふらつき”や”めまい”は妊娠性貧血の症状ではなく、仰臥位低血圧などの大きくなった子宮の影響が考えられます。
日本産科婦人科学会では、Hb値が11.0g/dL未満、ヘマトクリット値が33.0%未満の貧血を妊娠性貧血と定義しています。
一般的に約40%以上の妊婦さんが妊娠性貧血になると言われています。
妊娠性貧血の原因の大部分は鉄摂取不足です。
妊婦さんは、妊娠初期には1日に13mg、妊娠中期・後期は1日に20mgの鉄を摂取する必要があります。
一般女性の1日あたりの平均鉄摂取量が20代女性で6.2mg、30代女性で6.4mgを報告されていますので、あきらかに鉄摂取量が不足していますね。
食事から十分量の鉄を摂取するのが理想ではありますが、なかなか現実的ではない思われます。
日常的に十分な鉄分を摂取するためには、サプリメントからの摂取が効果的です。
当院では下記のサプリメントを取り扱っています。
食事やサプリメントでも十分に貧血が改善しない場合や、正期産に入って分娩や帝王切開術が差し迫っている場合には、鉄剤での治療が必要となります。
鉄剤の投与方法は、内服と注射があります。
・内服薬
内服薬は体内の鉄分が十分量となった場合には吸収低下が起こり、鉄過剰状態になりにくいといったメリットがあります。
もし、鉄過剰症となった場合には、臓器に鉄が沈着し、鉄が酸化することで臓器の細胞にダメージを与えることがあります。
内服薬のデメリットとして、嘔気・嘔吐・便秘などの消化器症状があります。
当院では、なるべく消化器症状の少ないフェルムカプセルを処方しておりますが、それでも内服困難な場合には、インクレミンシロップに変更すると意外に内服できることが多いです。
・静注剤
上記したように鉄過剰症のことを考えると内服薬の方が好ましいのですが、どうしても消化器症状が強くて鉄剤を内服できない妊婦さんもいらっしゃいます。
その場合には、鉄静注製剤の適応となります。しかし、鉄静注製剤は内服薬と違いフィードバックに伴う吸収低下の機構がないため、鉄過剰症には注意が必要です。
Hb値や血清鉄、フェリチン値を測定しながら投与期間を決定しています。
妊娠性貧血についてまとめてみました。
妊娠期間中は慢性的に鉄不足になりやすいので、サプリメントをうまく使って妊娠性貧血を予防していくことが大切と思われます。
長くなりますが一読いただくと幸いです。