北くまもと井上産婦人科医院

北くまもと井上産婦人科医院

MENU

ブログ

Blog

新型コロナウイルスに対するワクチン接種が体外受精に影響するか?

Pocket

新型コロナウイルスに対するワクチン接種が体外受精に影響するか?

疾病管理予防センター (CDC) の COVID-19 サーベイランス システムによると、COVID-19 感染症は妊婦の集中治療室 (ICU) への入院、人工呼吸器の必要性、および COVID-19 感染後の死亡のリスクが高いと報告しています。したがって、妊娠中または妊娠前の女性は、SARS-CoV-2 に感染しないように特に注意する必要があります。

ワクチン接種は、COVID-19 の蔓延を防ぐ最善の方法です。Petterssonらによると 2021 年 12 月 8 日までに、全世界でワクチン接種を行った人口は 46.5%と報告されており、中国では 77.3%と報告されています。現在のレトロスペクティブ データに基づくと、ART を受けた男性のワクチン接種率は約 80% です。しかし、ワクチンに関する誤った情報により、一部の人々、特に妊娠を希望している女性の間で、ワクチン接種に対する躊躇が生じています。不活化 COVID-19 ワクチン接種が女性の受胎に何らかの悪影響をもたらすかどうかは不明であるためか、ART を受けている女性のワクチン摂取率は 33.2% というはるかに低い値を示しているようです。

妊婦における COVID-19 mRNA ワクチンの安全性は多数の報告されています。Zaucheらは妊娠 6 週後の自然流産のリスクに対する COVID-19 mRNA ワクチンの影響を判断するために、レトロスペクティブ コホート研究を実施しています。彼らは、着床前や妊娠中にmRNAワクチンを受けた女性は、前年と比較して自然流産の発生率の増加を示さなかったと結論付けました。島袋らは、妊娠中または着床前に COVID-19 mRNA ワクチンを受けた女性に関する情報を含む、v-safe 妊娠登録から得られたデータを分析し 3958 人の女性のうち、827 人の女性が妊娠しました。流産率は 13.9% (115/827)、生児出生率は 86.1% (712/827) でした。有害妊娠の発生率は、COVID-19 パンデミックの発症前と同様だったと報告しています。

COVID-19ワクチンがARTに影響を及ぼすか研究した報告はほとんどありません。ART を受けている女性における mRNA ワクチンの効果を調査した研究は 4 つだけです。Bentovらは、ファイザーの BioNtech ワクチンによるワクチン接種が卵胞の成長に有害な影響はないと報告しています。Orvietoらは、卵巣刺激と胚発生のパラメーターが、mRNA COVID-19 ワクチン接種の前後で同等であることを示しました。Aharon らによる後ろ向き研究では、COVID-19 mRNA ワクチンを受けた女性は、卵巣刺激と早期妊娠の結果に悪影響を示さなかったと報告しました。さらに、Huangらは、COVID-19 不活化ワクチンが体外受精後の結果や妊娠率に悪影響を及ぼさないことを発見しました。

これらの研究は主にmRNAワクチンに焦点を当てており、これまでに実施された不活化ワクチンに関する唯一の研究では、継続妊娠率は報告されていません。したがって、私たちの研究は、COVID-19不活化ワクチンが体外受精の結果、特に進行中の妊娠に及ぼす影響を、症例数を多くし調査しています。

継続妊娠率を主要項目とし、採卵数、サイクルごとの胚盤胞率、移植に可能胚と着床率、生化学的妊娠、臨床的妊娠、生化学的流産、異所性妊娠、早期流産が調査されました。

・ワクチン接種群と非接種群の採卵数と胚発生の比較

ワクチン接種群は、ワクチン非接種群と比較して、トリガー日の卵胞数(直径≥14mm)が有意に少なかった(P = 0.017)。非接種群と比較しワクチン接種群は、採卵数 (P = 0.039)、胚盤胞数 (P = 0.037) および移植可能胚数 (P = 0.023) が有意に少なかった。受精率と胚盤胞の発生率、および受精法に、両群間に有意差はなかった。ただ、線形回帰分析の結果、採卵数 (P = 0.264)、移植可能胚数 (P = 0.127)、および胚盤胞数 (P = 0.105) であり、卵巣刺激前のワクチン接種の有無とは関連していませんでした。

・予防接種を受けた女性と受けていない女性の妊娠転帰の比較

ワクチン接種群の継続妊娠率は、非接種群変わりませんでした(36.3% 対 40.7%、(調整オッズ比 (aOR) = 0.91、P = 0.52 )。着床率 (34.4% 対 37.9%、P = 0.217)、生化学的妊娠率 (47.5% 対 52.6%、P = 0.148)、臨床妊娠率 (43.3% 対 46.5%、P = 0.359) (aOR = 0.95、95%) CI = 0.71–1.27、P = 0.72) は、2 つのグループ間で有意差はありませんでした。初期の流産率は、非接種群と比較した場合、ワクチン接種群と変わりはありませんでした (14.9% 対 11.2%、aOR = 1.36、P = 0.30) 。

両群の臨床的特徴のバランスが取れていなかったため、多変量回帰分析と PSM の両方を使用して、交絡因子の影響を調整しました。調整後は両群間に継続妊娠率、採卵数、サイクルごとの胚盤胞率、移植に可能胚と着床率、生化学的妊娠、臨床的妊娠、生化学的流産、異所性妊娠、早期流産に有意差を認めませんでした。

結論
この研究結果より、卵巣刺激前の不活化 COVID-19 ワクチン接種が、生殖補助医療の転帰にほぼ影響しないのではないかと考えられます。生殖補助医療を試みる女性は、卵巣刺激と胚移植のスケジュールを COVID-19 ワクチン接種理由に延期すべきではありません。

カテゴリー

最近の投稿

月別アーカイブ