北くまもと井上産婦人科医院

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2回目の妊婦健診について(がん検診の結果を中心に)

妊婦健診(2回目)について

2回目の妊婦健診について

2回目の妊婦健診では、お腹からのエコーで赤ちゃんの状態(心拍、発育)の確認と初回の妊婦健診で行った検査の結果説明を行います。

初回の妊婦健診で行った検査の詳しい内容については、初回の妊婦健診についてをご覧ください。

今回のブログでは、すこし分かりにくい子宮がん検診の内容について詳しく解説していきたいと思います。

子宮がん検診の内容については、妊娠していない方も同じですので、子宮がん検診の結果について興味のある方は是非ご覧ください。

 

がん検診の内容について

妊婦健診で行われる子宮がん検診は、子宮頸がんの検診となります。

子宮がん検診のクーポン券や職場健診で行われている子宮がん検診と一緒です。

子宮頸がんはイラストにあるように子宮の入り口の癌で、若い女性に多い癌です。

一方、子宮体がんは子宮の奥の方の癌で、閉経後の女性に多い癌です。

子宮がん検診は、内診台に上がって、膣鏡を使用し子宮の入り口を器具でこすって細胞を採取して行います。

子宮の入り口をこするだけなので、がん検診自体にはそこまでの痛みはありません。

当院のがん検診は、なるべく小さい膣鏡を使用して痛みの少ないがん検診を心がけております。

 

がん検診の結果の内容について

がん検診の結果は以下のように分類されます。

わかりにくいと思いますが、一番上の”NILM”以外は異常所見ということになります。

 

子宮がん検診で異常と言われたら?

子宮がん検診では、1番上の”NILM”以外は精密検査の対象となります。

当院では”婦人科診療ガイドライン2020”に順守して、細胞診で”ASC-US”の結果の場合にはヒトパピローマウイルス(HPV)の検査を行っております。

ヒトパピローマウイルス(HPV)は子宮頸がんの原因と言われているウイルスです。ヒトパピローマウイルス(HPV)は200種類以上のタイプがありますが、子宮頸がんの原因となるタイプは15種類ほどあると報告されています。

細胞診の結果が”ASC-US”の場合には、これらのハイリスクなヒトパピローマウイルスの有無についてのみ調べますので、その種類までは知ることはできません。しかし、細胞診の結果が”ASC-US”でも、ハイリスクなヒトパピローマウイルスが陰性の場合には、子宮頸がんのリスクは低いと判断して1年後にがん検診の再検査を行う方針となります。

婦人科診療ガイドライン2020より引用

また、LSIL以上の結果の場合には、コルポスコピーでの精密検査を行います。

コルポスコピーとは、子宮の入り口(子宮膣部・頚部)をコルポスコープという顕微鏡を用いて拡大して観察することで、子宮膣部・頚部の病変の有無や病変の程度や広がりを調べます。また、最も強い所見の部位を生検することで、子宮頚部異形成(子宮頸がんの前がん病変)や子宮頸がんの診断を行います。

 

子宮頚部異形成って何?

子宮頚部異形成とは、子宮頸がんの前がん病変であり、子宮頸がんへの進行のリスクをもった病変です。

下の図のように、軽度異形成→中等度異形成→高度異形成→上皮内癌→浸潤癌と進行していきます。

子宮頚部異形成は確かに前がん病変ではありますが、軽度異形成の場合には自然消失することが多く、また、浸潤癌まで進行するには数年の時間を要しますので、異形成と診断されたからと言って焦る必要はありません。

『日本産婦人科医会「思春期ってなんだろう?性ってなんだろう?2019年度改訂版」』より引用

子宮頚部異形成の進行にも、ヒトパピローマウイルスが大きく関わっています。

このことから、子宮頚部異形成の場合にもヒトパピローマウイルス検査を行うことで、今後のフォローアップ間隔や治療方針について参考にすることができます。子宮頚部異形成の方針決定にヒトパピローマウイルス検査を行う場合には、ハイリスクなヒトパピローマウイルスの有無ではなく、より詳細な検査であるヒトパピローマウイルスの型判定検査を行います。この検査では、ヒトパピローマウイルスのどのタイプに感染しているかどうかまで判定することができます。

婦人科診療ガイドライン2020より引用

まとめ

今回の医療コラムでは、妊婦健診というよりはがん検診で異常が出た場合の話について記載しました。

子宮がん検診の異常については、なかなか難しいとは思います。

この記事をご覧にいただくことで、定期的に経過を観察しないといけない理由などをご理解いただけますと幸いです。

 

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