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2018年11月17日までの風疹患者数は 2,032 人となり、先週から148 人増加しています。この患者数は 2013 年、2012年に次いで 3 番目に多く、2017 年 の患者数93人と比べて 22 倍となっています。また、同じ時期の患者数は2012 年の 2,017 人を超え、2013年に次いで 2 番目に多くなっています。
幸いなことに、今のところ先天性風疹症候群の報告はないようですが、過去には 2012 年に 2,386 人、2013 年に 14,344 人の患者が報告され、この流行に関連した先天性風疹症候群が 45 人確認されています。風疹の流行が始まって時間がたっていないため、まだ先天性風疹症候群の報告がされていないだけのことも考えられますので安心はできないと思われます。
ちなみに、11月現在で調べた範囲内では、熊本県内の風疹患者数は7名であり、熊本市内でも4名の風疹患者が発生しているようです。関東方面での風疹発生がニュースになっていましたが、飛行機で長距離を短時間で移動できるため、熊本でも”対岸の火事”というわけにもいかないようです。
主な症状は、発疹、発熱、リンパ節の腫れです。ウイルスに感染しても明らかな症状がでないまま免疫ができてしまう(不顕性感染)人も15~30%程度いるようです。しかし、不顕性感染でも感染力はあり、周りの人に移してしまうことはあるため注意は必要です。また、一度風疹にかかると、大部分の人はその後は生涯風疹にかかることはありません。風疹ウイルスは唾液のしぶきなどによって周りの人にうつります。発疹のでる1週間前~発疹がでた後1週間くらいまでは感染力があると考えられています。
妊娠20週頃まで(とくに、妊娠初期)の女性が風疹にかかると、胎児が風疹ウイルスに感染し、難聴、心疾患、白内障、そして精神の発達や身体の発達の遅れ等の障がいをもった赤ちゃんがうまれる可能性があります。これらの障がいを先天性風疹症候群といいます。これらすべての障がいが生じるとは限らず、これらの障がいのうちの一つか二つのみを持つ場合もあり、気づかれるまでに時間がかかることもあります。
先天性風疹症候群がおこる可能性は、風疹にかかった妊娠時期により違いがあり、妊娠週数が早いほど危険性が高くなります。
妊娠4~6週:100%前後
妊娠7~12週:80%前後
妊娠13週~16週:45~50%
妊娠17~20週:6%前後
妊娠20週~:0%
妊娠前に2回(子どもの頃に接種したものも含めて)の予防接種をうけることによって、風疹にかかることを予防することができます。また、周囲の方(旦那さんを含む)が予防接種を受けることで、妊婦さんなどに風疹をうつすことを予防することできます。
ただし、風疹ワクチンは生ワクチンのため、妊娠中は風疹の予防接種をうけることはできません。したがって、妊娠中に風疹抗体を持っていないことが分かった場合(風疹HI値が16倍以下)には、妊娠期間中は風疹患者に近づかない、という予防方法しかありません。具体的には人ごみを避けることや、マスク着用といった予防方法になると思います。また、家庭内に風疹を持ち込まないことが重要となりますので、周囲の方(旦那さんを含む)が予防接種を受けたほうが良いでしょう。分娩が無事終わったら、次の妊娠に備えて分娩後に風疹の予防接種を受けることを強くお勧めします。ちなみに、妊娠が分からないで風疹の予防接種を行ってしまった場合に、予防接種が原因で先天性風疹症候群となった報告はないようです。
『コウノドリ』風疹エピソードを緊急無料公開中みたいなので、わかりやすいので読んでみてください。